以後、03年まで毎年出場を続けることになるが、02年にZeebra(46)らと組んだプロジェクトをきっかけにR&Bやヒップホップ志向を固めた安室は、04年からは紅白をシンボルとした日本のミュージックシーンから、明確に一線を引くことになる。
日本の中でのトップシンガーから、ビヨンセ(36)やクリスティーナ・アギレラ(36)ら、世界に通用する歌って踊れる「ディーバ」への飛躍を明確な目標とし、以降は事務所からの独立をはじめ、信じた道へと歩みを進めてきた。
そんな安室が、昨年のNHKリオ五輪・パラリンピックのテーマソング「Hero」を手掛けたときに取り沙汰され始めたのが、40歳での引退だった。「五輪テーマの提供は、日本と世界との懸け橋に足る存在になれたという自負」と関係者は語る。それでも昨年、NHKの三顧の礼にもかかわらず、安室は紅白の舞台を踏まなかった。そこには「本当に、思い入れの舞台に立つのは来年と、心に誓っていたのでは」とNHK関係者は証言する。
NHKは、引退がホームページで告知されるのとほぼ同時に真っ先にニュース速報を流した。これから1年、あらゆる集大成を遂げる道程に紅白はある。今年が歌手として最後の大みそか。「伝説の歌姫」となる中で、安室が出るべき場所は「大トリ」しかない。